さて、境界確定訴訟か!と思っていると調査士さんから「やめたほうがいい」とのアドバイスを頂きました。理由は経済的に割に合わないし(特に田舎では)、長期の期間争うことになるから大変であるとのことです。調査士さんの間では「弁護士に境界の確定を任せるな」が合言葉になっているそうです。
一番良い解決策は、相手が反論できないきちんとした根拠に基づく図面を作成して、立会いの段階で納得させることです。しかし、田舎ではそもそも境界があいまいであったり、境界杭が埋もれている、親から「ここまでが家の境界だと聞いている」など様々な理由から必ずしも相手が納得するとは限りません。
そこで紛争解決のため、第一に考えられるのはADR(裁判外紛争解決手続)の利用です。民事訴訟を学習しているときにはADRの存在意義について理解が足りませんでしたが、つまりは訴訟は費用も時間もかかるし、大事になるからもっと簡易に当事者の話し合いを中心に、専門家の意見を取り入れて紛争を解決しましょう、と言うものです。しかし、ADRの利用による紛争解決には大前提があります。相手が話し合いの場に出てくることです。排水路を埋め立てるような輩はそもそも話し合いの場に出てきません。
次に考えられるのは、筆界特定制度です。この制度は近時の法改正により、境界確定訴訟に持ち込むことなく、筆界調査委員という専門家が中心となり、実際の測量を行なって、もともとの筆界を特定するというものです。この制度で特定した筆界について相手が納得できず、境界確定訴訟になったとしても、この筆界が訴訟でも有力な資料となるため、この筆界を否定する資料を相手が用意できなければ、事実上筆界特定制度で特定した筆界を境界とすることになります。しかし、この制度、費用が安いと謳っているのですが、測量の実費は筆界調査委員(土地家屋調査士)に支払わなければなりません。うちは測量図はすでに作成済みです。しかも、創設間もないこの制度、私の暮している市ではわずか3例しか解決に至っていないそうです。 PR